2年ぶりに訪ねたロサンゼルスでのことだ。すでに二度の日本ツアーを経験しているスカ・バンド、Jump With Joeyのドラマー、ウィリー・マクニールがそう話しだしていた。
「彼ら以外には考えられないよ」
と続けるウィリーは、ベース奏者のジョーイ・アルトゥルーダと共にLAアンダーグラウンド・シーンで最も重要な動きを続けるミュージシャンのひとりと言ってもいいだろう。80年代にはフィッシュボーンやレッド・ホット・チリ・ペッパーズと共にシーンを騒がせていたバンド、トゥペーロ・チェイン・セックスで活躍。ロンドンでジョー・ストラマーらと活動した後、ロサンゼルスに戻ってJump With Joeyを結成している。すでに9年目に入ったこのバンドも順調に活動を続けているのだが、それとは別に手がけているのが数々のプロジェクト。スケイトマスター・テイト(『リバース・オヴ・クール』の1枚目に収録されている曲など)で作曲やプロデュースを担当したり、アシッド・ジャズ系のユニット、ソルソニックスを立ち上げたり... また、ギャングスターのグールーによるJazzmatazzプロジェクトに加わるなど、今ではロサンゼルスの若手ミュージシャンに最も信頼されるヴェテランとも言える存在だ。
さて、初めてオゾマトリのライヴを体験したのは8月12日。ニューヨークのTrampsという小屋(51 West 21st Street)だった。大きさは東京のクアトロを一回り大きくしたサイズ。店に飾ってあるポスターを見ると、ジョン・ルーリーやタジ・マハール、ギリアン・ウェルチといった顔ぶれの見える。ニューヨークの事情には詳しくないのだが、おそらく、いろんな意味で注目を浴びる良質なアーティストが姿を見せる小屋なんだろう。
と、そういった名前がクレジットに発見できるのだが、その他にも、この原稿の最初に登場したJump With Joeyのトロンボーン奏者、そして、サックス奏者でもあるDave Ralickeが録音に参加しているのが、個人的には嬉しいところだ。
さて、歌の内容だが、かなり政治的なものが多い。まるでザイーリアン・ルンバやソカのようにも聞こえる巻頭の曲『Como Ves』は「自分の目でじっくりと見つめてみろよ」と問いかけるもの。アルバム唯一のカヴァーとなる「Aqui No Sera」ではエル・サルヴァドールが第2のヴェトナムになってはならないと歌い、「Chota」は警察のことを歌ったもの。そのあたり、詳しくは歌詞カードを見なければわからないのだが、そういった歌が数多く登場するのは、オゾマトリが生まれた状況が影響しているに違いない。
実は、このインタヴューをしたとき、それぞれの曲がどんな音楽に根ざしているのか尋ねているのだが、正確にこれだとは言えないと答えているのが面白い。正直なところ、ラテン音楽の専門家でも研究者でもないので、そんな質問を用意したのだが、彼ら自身、いろんな要素を自然に融合して、具体的には「メレンゲだ」とか「チャチャだ」とか言いづらい音楽を生み出したということだろう。例えば、曲名にクンビアが登場している3曲目の『CUMBIA DE LOS MUERTOS』にしても、曲頭のギターはレゲエを思わせるし、途中ダブっぽい処理も飛び出してくる。さらに、そこにはラップも絡まっているというのがオゾマトリのスタイルなのだ。
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