でも、それも無理はない。というのも、この時紹介されたシガロもピッキオも、どう見たってミュージシャンには見えないのだ。イタリア映画のファンだったらわかると思うんだけど、どう見たって下町の親父さんって感じで、楽器よりスクーターの方が似合っている。握手をしたときのシガロの手のひらだってザワザワのガラガラ.... 分厚い表皮の感覚が、ミュージシャンと言うよりも、肉体労働者であることを雄弁に物語っていたものだ。
それでも、それから数ヶ月後に届けられたのが、彼らと出会った少し前の3月に、文字通り1万人近い人を集めてローマで開かれた彼らのコンサートのライヴ・アルバム『Un Altro Giorno D'Amore』だった。これでぶっ飛ばされたというか... 彼らの魅力を初めて認識することになる。
それから4日間で移動した距離、ライヴの時間... その全てが驚きだった。スペインでは当然なのだが、ヘッドライナーがステージに登場するのはたいてい深夜の2時頃。バルセロナの次の街、Roda De Terではライヴを終えた朝の4時から移動の開始だ。ほんの1時間ほど前まで、まるでハッピー・マンデーズのベスのようにステージで歌い、踊り、叫んでいたヴォーカルのピッキオがハンドルを握って、多少凍結した道路で車を走らせている。しかも、この日の移動距離は1200km。スペイン最南東地域のカタロニアから西北端のガリシアまでひた走るのだ。ライヴ会場近くのホテルに到着したのは夜の10時頃。まずは食事をすませて、わずかな仮眠の後、やはり深夜2時から演奏を開始する。
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