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強力なトリップ感覚の傑作エキゾチカ
今となっては伝説となってしまったはっぴぃえんどを解散したあと、(ひょとしてその前だったかもしれないけど)細野晴臣が発表したのが『ホソノハウス』。このあたりは小坂忠と同じようなジェイムス・テイラー的なウェストコースト趣味がかなりでていたんだけど、その次の作品『トロピカル・ダンディ』あたりから浮き上がりだしたのがエキゾチカという、無国籍なサウンド。これがよかった。しかも、歌そのものがとってもよくて、「3時の子守歌」とか... この時代って、やはり言葉に対するこだわりがあったんだろうな。素晴らしい言葉を使って、とても広がりのある世界を提供してくれるのだ。
でも、その『トロピカル・ダンディ』で試みた世界が完成されたのがその次の作品となる『泰安洋行』(通称『ボン・ボヤージュ』)というアルバムだった。言葉の美しさや広がりが前作にもまして広がり... なによりも驚かされるのはアナーキーなまでの異要素を融合した斬新なサウンド。沖縄とニューオリンズが一緒になって、それでも違和感がないという驚異的な世界が広がっているのだ。もちろん、普通に聞いていたら、おそらく、「エキゾチックなサウンドだなぁ」ってだけで終わってしまうんだろうけど、耳を凝らしてじっくり聞いていると... そんな印象を遙かにしのぐ音の洪水を発見できる。これって、やっぱりとんでもないアルバムだな。今まで、もちろん、このアルバムは傑作のひとつだと思っていたし、いつだっけかトッド・ラングレンと会ったときも、「細野の『ボン・ボヤージュ』は傑作だ」なんて言われたことがあったけど、ここ数日、ヘッドホーンでこのアルバムを聴いて、その「ビックリ仰天サウンド」に感心したという次第。というので、ここにこのアルバムのことを書いてしまっている。
このあと、細野は『ハライソ』というアルバムを発表して、その延長線のサウンドを作り出しているんだけど、そのサウンドの密度というか濃度というか、その点を考えると『泰安洋行』には若干の差でかなわないといった感じ。(もちろん、この『ハライソ』もめちゃくちゃいいよ!)そして、一般的に言われる『エキゾチカ三部作』に終止符を打つことになるわけだ。このあと、ちょっとトリップ感いっぱいの、シンセサーザー多用型サウンドが登場し、これが後のYMOにつながって行くんだろうけど、その前の3枚こそが彼のキャリアのなかで最も輝いていた時期のような気がする。
ということで、このアルバム、今じゃ、わずか1500円ほどで購入が可能。廉価版でそのあたりのアルバムは全て手に入るんだけど、なにがなんでもこの『泰安洋行』は聞いて欲しいと思うな。絶対に損はさせない。ということで、CD-Rドライヴを買って、この3部作をまとめた『エキゾチカ・トリロジー』なんて作ってみようかと思っている今日この頃。でも、1枚のCD-Rに全て入れてしまうには、カットしなければいけない曲がありすぎて頭を抱えているといったところ。だって、みんないいんだよね、この3枚。
1998年11月22日記す。
reviewed by hanasan
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