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ストーンズ、ビートルズ、ヤードバーズ... 全てはここから始まったんじゃないだろうか
付属されているブックレットの最初のページに原稿を寄せているのはビル・ワイマン。そこで彼がどれほどこのAmerican Folk Blues Festivalを楽しみにしていたかが記されている。どうやら、このパッケージでのヨーロッパ・ツアーが62年から66年にわたって幾度か開催されたようで、その一行がイギリスに来たときにはローリング・ストーンズのツアーとぶつかったらしく、悔しい思いをしていたということだ。
それもそうだろう、彼らストーンズのメンバーにとって憧れの的だったアメリカの本物のブルーズ・ミュージシャンがほぼ全てといってもいいほどの規模で加わっていたのがこのツアー。その気持ちは痛いほどわかる。そして、こういったミュージシャンたちとの出会いがなかったら、おそらく、音楽の歴史が変わっていただろう。ストーンズも、ビートルズも、ヤードバーズも、アニマルズも、ブルーズの巨人たちを抜きにしては語ることができない。
それをいやというほど味合わせてくれるのが先日紹介した"Howlin' Wolf Story"やこの2枚のDVDだ。
「こんなに広いステージで演奏したことないさぁ」
と、語っていたハウリン・ウルフの言葉を待つまでもなく、憧憬にも似た視線を持つ一部の好き者を除けば、アメリカではまともな待遇を与えられなかったのがブルーズ・アーティストたち。ところが、ヨーロッパでは彼らに対して正当な評価を与えていたということだろう。その証拠として残っている映像がまとめられたのがこの2本のシリーズだと言ってもいいかもしれない。
彼らのツアーを収録したり、彼らをスタジオに招いてライヴを通してブルーズを伝えようとしたのが当時のドイツの放送局。そのときの映像をまとめたのがこのシリーズだ。基本的にはスタジオにブルーズの本場のようなセットをたてて、その前でミュージシャンが演奏するというもので、それにどこかのホールでのライヴが加えられているという構成だ。
出演者は伝説のアーティストばかり。年老いた姿しか見ていなかったJohn Lee HookerやT-Bone Walker、Muddy Watersなんかがばりばりの若者... といったら語弊があるけど、ばりばりに元気なときの映像がこれでもかという感じで登場するのには驚かされる。動いている姿を見られただけでも成仏できるという昔からのブルーズ・ファンも絶対にいるんだろうなぁと思う。
圧巻なのは...vol.1では、最後のセッション。マディ・ウォータース、メンフィス・スリム、ウィリー・ディクソン、サニー・ボーイ・ウイリアムソンらが一緒に演奏しているトラック。すげぇ...としか言いようがない。それとボーナス・トラックのアール・フッカー。前半、おそらく楽屋だろうと思うけど、カントリー・ナンバーをやっている姿が収められていたり、ステージではうってかわってワイルドにロックする強力なブルーズ・ギターを披露している。Vol.2でもボーナス・トラックとして、(おそらく、同じギターを使ってます)マジック・サムの、これまたとんでもなくワイルドにロックするギターが楽しめるのだが、実は、これって、TMGEの源流だと思ったり... というより、こういったブルーズ・ギターこそがジミ・ヘンドリックスを生み出したことを否応なしに思い知らされる。
Vol.2も同じような構成なんだが、なんといってもハイライトはHowlin' Wolf Storyの一部で使用されていたセッションが全て収められていること。この人は、やっぱ、すごい。しびれます。それに、Lightnin' HopkinsやT-Bone Walkerにゾクゾクさせられるし... 加えて、最後に登場するBig Mama Thorntonも強力。ジャニス・ジョプリンが手本としてまねをしていたブルーズ・シンガーだというのでヴォーカルを期待していたらブルーズ・ハープをやっているというのでまたびっくり。しかも、肝っ玉かぁさんみたいな感じで、ジョン・リー・フッカーを「次、あんたよ」って使っているようにも見える。わぁお!
こういったDVDが格安で入手できて、若かった頃のストーンズやビートルズが憧れていた、生ではもうお目にかかれないアーティストたちの映像を垣間見ることができるのって、とんでもない時代になったと思う。なにせ、ちょっと昔までほとんどお目にかかれなかったのがこういった映像。こんな本物を簡単に映像で楽しめるって、幸せだと思うよ。
2004年1月21日記す。
reviewed by hanasan
-->前回のレヴュー - 『高田渡 / 五つの赤い風船』高田渡 / 五つの赤い風船 |
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