湾岸戦争への90億ドル支出・自衛隊掃海部隊派遣(差止)違憲確認
国家賠償請求訴訟の控訴にあたって
原告団・弁護団 控訴声明
戦争に税金を払わない!市民平和訴訟の会・東京去る5月10日、湾岸戦争への90億ドル支出および自衛隊掃海部隊派遣の違憲確認 の訴えは却下、損害賠償請求は棄却との判決を受けたが、その結論、理由ともに 到底承服することはできないので、本日、東京高等裁判所に控訴した。
私たちは1991年3月に提訴し、今年2月7日の結審に至るまで5年間、20回にわ たる口頭弁論を通じて、詳細な主張をし、これを裏付ける1千点以上の書証を提 出、3名の証人と4名の原告本人の尋問を通して湾岸戦争が国連憲章や国際人道 法などにも違反し、多国籍軍による一方的殺戮行為であったこと、そして日本国 政府による90億ドル(約1兆1700億円)支出、自衛隊掃海部隊の派遣が参戦行為 そのものであり、憲法が保障している平和的生存権及び納税者基本権を否定する 違憲・違法な行為であるということを明らかにしてきた。
これに対し判決は、参戦行為の実態に一切触れることなく、ただ訴訟形態、平和 的生存権・納税者基本権の法律論的解釈のみに終始し、私たちの受けた精神的苦 痛についても、単に「公憤ないし義憤」に過ぎず、法的保護に値しないと一蹴し た。
行政訴訟・民事訴訟等の訴訟形態を例示し、いずれの訴訟にもなじまないとしな がら、国民の裁判をうける権利を否定したものではない、という矛盾した論理展 開、「平和」という概念が抽象的である、という一点張りで平和的生存権を否定 しようとしたゆえに大変無理のある理屈、過去の判断を踏襲しただけのなんの努 力のあともみられない「納税者基本権」否定の論理、そして私たち一審の原告 1067人は、元兵士、原爆被害者、戦争体験から憲法の平和主義を人生の支えとし てきた学者・教師、憲法の平和理念を実現すべく紛争地での人権活動をしてきた 者、イラクに何回も行き子供たちの救援活動をしてきた者等、さまざまな思いを もった人たちで構成されているが、個々の内心的苦痛を検討することなく、いき なり「公憤」「焦燥感」などの言葉で十把ひとからげにされてしまうのも腑に落 ちない。それにあれほど時間をかけて論証して来た参戦行為の実態について一言 も触れないというのは何事か、という気持ちで一杯である。
原告のほとんどは今回が初めての裁判経験であるが、裁判所というものはこれほ ど理屈のとおらないところなのか、判決文ももってまわった内容で意味不明の部 分が余りにも多いというのが率直な感想である。
「平和的生存権」を裁判所も国も否定するが、現在では国連並びに国際社会もこ れを固有の人権として認めようというのが趨勢である。日本国憲法の先進性を司 法自らの手で否定することは愚行以外のなにものでもない。
湾岸戦争への加担行為は、武力による威嚇又は武力の行使を放棄した平和憲法下、
初めてなした参戦行為であり、これをきっかけに政府は「国際貢献」の名のもと
に自衛隊の海外派兵をなしくずし的に行ってきている。
私たちに続く子々孫々のためにも、この違憲行為をこのまま見過ごすことはで
きない。
多くの原告は、裁判所の理不尽な対応に怒りと失望を覚え、また司法そのものの 限界を感じ、他の方法によりこの訴訟に参加したさまざまの思いを実現するため に活動の場を求めて巣立って行く。 187名の原告は控訴審において一審判決を徹 底的に批判し、参戦行為の違憲・違法確認、平和的生存権・納税者基本権の確認 を追求していく決意である。
今後ともご注目下さい。