[市民平和訴訟の会・東京]解散声明


「市民平和訴訟の会・東京」の解散にあたっての上告人団/弁護団声明

 1991年の湾岸戦争に、90億ドルにもおよぶ戦費支出・自衛隊掃海部隊派遣を行った日本国政府に対して、私たちは憲法違反行為であるとして提訴しました。この裁判は、一審で敗訴し、さらに1998年7月の控訴棄却に対して上告していたものでありますが、1998年11月26日に、最高裁判所の第一小法廷は上告棄却の判決を出しました。
 上告棄却の判決理由は、たった4行に過ぎず、上告人らは「独自の見解に立って原判決を非難しているに過ぎず」とするものであり、到底「理由」とすら言えるものではありません。また、これら判決は、同小法廷の5人の裁判官全員一致の意見とし、そこには各裁判官の自発的判断らしきものは皆無です。さらに、鹿児島・大阪・名古屋から提訴されていた同様の訴訟に対しても、担当法廷が違うにもかかわらず、ほぼ同文の判決文であることから、事前に何らかの申し合わせが行われたものと推測せざるを得ません。
 このような最高裁判所の態度は、現在の国会における「憲法調査委員会設置法案」「周辺事態関連法案」提出と歩調をそろえて、憲法9条を実質上骨抜きにしてしまおうとする動きを支援するものといえます。
 最近のアメリカの行動を見ますと、日本が国際貢献のよりどころとしている国連決議が無くても、イラク攻撃を行うような、好戦国家の体質が露わになってきました。このようなときになされた今回の最高裁判所の判決は、アメリカや日本の政府の策動への援護と断ぜざるを得ません。
 万が一「周辺事態法案」が実施されたならば、後方支援にとどまらず、参戦行為に行き着くことは明白であり、憲法違反の「集団的自衛権」を行使することになります。日米安保「再定義」のもと、日本国全体を総動員するもので、国民主権への重大な侵犯でもあります。
 このような憲法の空洞化または憲法違反の行為に抗し、市民から周辺事態法への違憲提訴も想定されますが、今回の最高裁判所の判決は、この提訴が無意味であることを示すために、先手を打ったとも言えるものであり、市民らの率直な疑問を封殺するものです。
 さらに、今回の最高裁判所の判決は、行政に司法が追随していることを明白に示すもので、司法の自殺行為とも言うべきものであります。最近は、省庁を問わず官僚の腐敗が次々と明るみに出ていますが、それは構造的なものであり、このような腐敗した日本国の行政に追随することは、日本の将来を誤らすものです。
 私たちは、約8年間にわたる裁判を中心にした活動の結果、日本国憲法の絶対平和主義を基本とする、平和的生存権や納税者基本権を確信するに至りました。今回の最高裁判所の判決に対し心底より抗議を表明すると共に、今までの経験を生かして、各人がそれぞれの場で平和憲法を国民に浸透させる共に、世界に広めて、真の平和な世界をめざす活動を続けることを確信し、解散の声明と致します。

1999年2月13日

市民平和訴訟の会・東京
上告人団/弁護団


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