[市民平和訴訟の会・東京]控訴審抗議声明


                           1997年7月15日

湾岸戦争への90億ドル支出・自衛隊掃海部隊派遣違憲確認国家賠償請求訴訟
           控訴人団・弁護団 控訴審抗議声明

                市民平和訴訟の会・東京
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                        「梵我堂」内
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 本日の判決は、司法が果たすベき責任・任務を放棄したものである。

 湾岸戦争の実態ならびにそれへの政府の加担行為を調べることなしに、私たちの訴えている権利侵害、国の違法行為の有無を判断できないはずである。控訴審においても、私たちは裁判所に対し、政府の支出した90億ドルの具体的な使途を知る湾岸平和基金の担当者や掃海部隊の指揮官の証人尋問を操り返し要求した。しかるに、裁判所はこれを採用せず、真実追究の姿勢がほとんどみられなかった。

 湾岸戦争への加担は、戦争、武力による威嚇または武力の行使を放棄した平和憲法下、初めて行った明白な参戦行為であり、これをきっかけに政府は自衛隊の海外派遣や有事法制化をなし崩し的に行ってきている。この「原罪」とも「大罪」ともいうべき事件を裁く姿勢が全く見られず、その上、判決も極めて不当な内客である。

 憲法上の権利として規定され、裁判規範でもある「平和的生存権」を、裁判所は抽象的であるとして原告らの請求を却下及び棄却した。現在では、国連ならびに国際社会もこれを固有の人権として認めようというのが世界の趨勢であるのに背を向けている。この権利を「抽象的」「不明確」であるというのであれば、それを具体的に、明確にしていくことが司法に求められている任務である。「納税者基本権」についても同様である。

 国は法廷で反論らしい反論もせず、証拠調べにも反対し、正面から法廷で自らの主張を明らかにせず、原告らの請求の却下・棄却を求めることに終始した。この国の態度は、今までの沖縄代理署名裁判などと同様、行政権は万能であり、裁判所も由民もそれに従えと言わんばかりのものであった。このような国の姿勢は、裁判の口頭弁論主義にも反し、「議論を尽くす」という民主主義のルールをも無視したものであって、長くこのような態度を許してきた裁判所の責任も重いと言わざるを得ない。

 すでに「駐留軍用地待別措置法」が「改正」され、軍用地のためならば私有地も取り上げられてしまう法律ができてしまった今、日本国憲法は50年目にして大きな危機を迎えている。日米ガイドライン見直しにともない、政府は有事法制化も準備しており、改憲を求める議員連盟に参加する国会議員は3分の2に迫る勢いである。今ほど、私たちが主張してきた「平和的生存権」「納税者基本権」の確立が求められている時代はない。

 今回の判決はこうした任務、そして憲法の番人としての役割を放棄した誠に安易な判決と言わざるを得ず、これこそ裁判所の「職務怠慢」である。司法がその独立と任務を放棄し、このまま行政に追随するならば、誰も司法に期待しなくなり、それは司法の自殺行為にほかならない。「気がついたら戦火の中にいた」という時代にしないために司法の果たせる役割は大きいことは言うまでもない。

 私たちは、司法の消極姿勢を正して、政府の違法行為を告発し、今後も真の平和の確立のためにあらゆる努力を続ける。



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