(注1)判決文はB4用紙に2つ折にして書かれています。各ページ毎に番号を付け、折り目を"----------"で示してあります。
(注2)控訴人の個人名は「*」で置き換えてあります。
(注3)丸数字はカッコと数字に置き換えてあります。
平成九年七月一五日 判決言渡
同日 判決原本領収
裁判所書記官 北澤由貴
平成八年(行コ)第五九号戦費支出差止等、掃海部隊派遣差止等、各損害賠償請求控
訴事件(原審・東京地方裁判所平成三年(ワ)第二六一一号、同年(行ウ)第九○号、
平成四年(行ウ)第六号、平成六年同第六三九号)
判 決
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
主 文
一 本件控訴をいずれも棄却する。
二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人ら
---------------------------------------------
1 控訴人****及び同****
(一) 原判決主文一項中、控訴人****及び同****に関する部分を
取り消す。 ,
(二)(主位的請求)
被控訴人が平成三年三月一二日付けの湾岸アラブ諸国協力理事会と
の間の交換公文に従って同理事会に対して九○億ドル(一兆一七○○
億円)を支出したことが憲法に違反することを確認する。
(予備的請求)
被控訴人が平成三年三月一二日付けの湾岸アラブ諸国協力理事会と
の間の交換公文に従って同理事会に対して九○億ドル(一兆一七○○
億円)を支出したことが違法であることを確認する。
____________1_____________
2 控訴人****及び同****
(一) 原判決主文一項中、控訴人****及び同****に関する部分を
取り消す。
(二)(主位的請求)
被控訴人が平成三年四月二四日付け閣議決定及び同日付け安全保障
会議決定に基づいて海上自衛隊の掃海母艦、掃海艇及び補給艦並びに
自衛隊員をペルシャ湾に派遣したことが憲法に違反することを確認す
る。
(予備的請求)
被控訴人が平成三年四月二四日付け閣議決定及び同日付け安全保障
会議決定に基づいて海上自衛隊の掃海母艦、掃海艇及び補給艦並びに
---------------------------------------------
自衛隊員をペルシヤ湾に派遣したことが違法であることを確認する。
3 控訴人ら
(一) 原判決主文二項を取り消す。
(二) 被控訴人は、控訴人らそれぞれに対し、各金一万円を支払え。
4 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
との判決及び3項(二)につき仮執行宣言
二 被控訴人
主文と同旨
第二 事案の概要
本件の事案の概要は、以下のとおり当審における控訴人らの主張を付加
するほかは、原判決「事実及び理由」第二に記載のとおりである(ただし、
____________2_____________
原判決三丁一行目の「基づく」を「基づき」と改める。)から、これを引
用する(以下、略語も原判決と同様とする。)。
(当審における控訴人らの主張)
一 本件違憲違法確認の訴えについて
1 原判決は、裁判所は抽象的違憲審査権を有しないことを理由に、本件
違憲違法確認の訴えを不適法な訴えであるとして却下した。
しかしながら、控訴人**らは、被控訴人の行為により、控訴人**
らが主体として有する平和的生存権の侵害があったことを根拠として、
具体的な被控訴人の行為を特定した上、各人の具体的な権利侵害を回復
するにふさわしい判決を求めて右確認の訴えを提起したものであり、控
訴人**らが裁判所に対し抽象的違憲審査を求めているものではないこ
---------------------------------------------
とはその主張から明らかである。したがって、この点の原判決の論難は
的を射たものではない。
2 次に、原判決は、控訴人**らが具体的な紛争解決を求めるものであ
るとしても、過去の事実ないし法律関係の存否の確認は、原則として訴
訟制度の目的に沿うものではなく、過去の事実ないし法律関係の存否を
確認することが現在の紛争の直接的かつ抜本的な解決手段として最も有
効かつ適切と認められるときに限って許されるが、本件については、過
去の行為の違憲違法を確認することが控訴人**らの主張する平和的生
存権ないし納税者基本権の救済手段として最も有効かつ適切であると認
めることはできない旨を判示して、右違憲違法確認の訴えは不適法な訴
えであるとした。
____________3_____________
しかしながら、平和的生存権に派生する枝分権としての具体的な訴訟
上の請求権の内容として最も有効かつ適切で最もふさわしいものが、違
憲違法確認請求権なのである。
すなわち、憲法が予定する平和の秩序が再び政府の行為によって完全
な崩壊に至るのは、無数の違憲違法行為の積み重ねによる。一つの平和
的生存権の侵害を見過ごせば、さらに大きな権利侵害に至る。この違法
の連鎖を断ち切るために最もふさわしい訴訟の類型として、国の戦争加
担行為を違憲違法と確認する判決が求められる。また、国が一つの戦争
加担行為を行うことにより、国と国民との間にはこれに連鎖する多くの
権利関係の変動が生ずる。当該違憲違法行為から現在に至る連鎖した権
利関係の変動をすべて特定してその無効の確認を求めたり、その除去や
---------------------------------------------
被害の賠償請求をするよりも、国の当該根幹的行為を違憲違法と確認し
てその後の違法行為の連鎖を断ち切ることこそが、平和的生存権侵害の
救済手段として最も有効かつ適切というべきである。さらに、確認訴訟
において、権利が裁判上確定されれば、当事者間においては、爾後の法
律生活はこれを尊重しつつ行われていくことが多いという事実上の機能
も無視してはならないと説かれているように、特定の戦争加担行為を裁
判上違憲違法と確認することは、国民と国との間において、爾後の国民
の平和的生存権を擁護するのに最も有効かつ適切な機能を果たすであろ
う。
これに対し、原判決は、控訴人**らの主張する平和的生存権が国民
の個別的権利として存在するとしても、右権利の侵害に対する救済手段
____________4_____________
としては、右権利が被控訴人に対する何らかの請求権であるときはその
権利を行使し、右権利が違法に侵害されたときは右侵害に対する金銭賠
償を求めることが最も有効かつ適切である旨を判示する。
しかし、平和的生存権は、本来各国民に平和のうちに生存する利益を
保障する実効的な権利であり、戦争を予防する権利ともいえるのであっ
て、事後的に平和が侵害されたことに対する金銭賠償では意味がなく、
権利の中核部分については金銭賠償になじまないというべきであるし、
少なくとも金銭賠償のみで償われる権利ではないのであるから、右判示
は失当である。
二 平和的生存権について
控訴人らの平和的生存権の理論(平和的生存権の根拠規定、主体、その
---------------------------------------------
裁判規範性については、原判決「事実及び理由」第二の三2(一)(2)に記載の
とおりである。)は、我が国の憲法が平和の理念を単に政策の問題として
捉えたのではなく、基本的人権の範疇の問題として把握しているという理
解に基づくものである。平和のうちに生存することが基本的人権であれば
こそ、民主主義的手続を尽くした絶対の多数決によっても、たった一人の
平和に生きる権利を侵害することはできないし、また国民個人が原告とな
っての司法救済が可能なのである。
しかるに、原判決は平和的生存権の裁判規範性を否定したが、その根拠
とされているのは、唯一根拠規定の具体性の欠如であり、待にこの権利の
中核にある平和の概念の抽象性、多義性が問題とされている。
しかしながら、既に述べたとおり、平和的生存権は、憲法前文にその根
____________5_____________
拠を置き、これを承けて憲法九条が明確に戦争放棄、戦力不保持及び武力
の行使、武力による威嚇、交戦権の否認を規定するもので、その規定の仕
方において他の諾権利と比較して抽象的に過ぎるということは決してない。
憲法上の諸権利についても最初から具体的な権利など存在せず、内容が一
義的に決まらないものを具体的な事例における判断を積み重ねて内包を豊
かにし、外延を具体化し明確化していくことは当然のことであり、平和的
生存権に限って抽象性を根拠に権利性を否定することはできない。
また、原判決の論難にも関わらず、平和とは決して多義で確定しえない
内容ではない。憲法、特に同法九条を素直に読めば、憲法が定めている平
和の内容の理解はまことに容易であり、武力の行使・武力による威嚇を禁
止し、一切の戦力の不保持を宣言したことに対応する態様の平和のうちに
---------------------------------------------
生存することが国民の権利なのである。
原判決が、規定の抽象性だけを根拠に平和的生存権の権利性を否定した
のは、いわば、違憲判断回避のロ実にすぎず、憲法上抽象的に記載された
権利を具体的、個別的な事例へ適用するに当たってこれを具体化し内容を
豊かにしていく法律実務の責務を放棄するものである。
三 納税者基本権について
控訴人らは、納税者は、憲法の規定するところに従って税金が使われる
ということを前提にして、その限度で、そして憲法の規定するところに従
って納税義務を負うという納税者基本権に基づき、納税者は政府が憲法に
違反する目的に税金を支出しようとしているときにはその支出の差止を請
求し、支出されてしまった後は損害賠償請求を求めることができると主張
____________6_____________
した(原判決「事実及び理由」第二の三2(一)(3))。
しかるに、原判決は、要するに、租税の徴収と国費の支出は、その形式、
実質とも法的根拠及び手続を異にしており、両者に関連性はないから、納
税者は国費の支出を伴う国の施策についてその是非を争う権利はないとし
て、控訴人らの右主張を排斥した。原判決の右判示は、正に明治憲法下に
おける租税の徴収面と使途面を分断、峻別する理論を踏襲したものという
べきである。
しかしながら、近時、国民・納税者の租税の使途に関する関心は極めて
大きくなっており、主権者・納税者として税金の使途を行政に任せきりに
しないという決意を具体的行動をもって示しており、旧来の明治憲法下の
税金の徴収と使途を分断、峻別する理論を踏襲するままでは、これに応え
---------------------------------------------
ることはできない。すなわち、日本国憲法は、明治憲法の財政に関する基
本原則を完全に変更し、国民主権原理を徹底し、かつ、恒久平和主義を担
保し、租税の徴収面と使途面を統合して規定しているというべきであるか
ら、日本国憲法のもとにおいては、その規定する財政に関する基本原則及
び租税概念を前提として、納税者基本権という新たな人権が成立すると解
さなければならない。
四 法的保護に値する被侵害利益について
控訴人らは、仮に平和的生存権や納税者基本権が認められないとしても、
控訴人らの戦争に加担しないで平和に生きたいという思い、人殺しに加担
したくないとの信念、自己の納める税金を戦費に使用させたくないとの切
実な願いなどの内心的感情は、控訴人らの人格的利益として法律上保護さ
____________7_____________
れるべき利益であると主張した(原判決「事実及び理由」第二の三2(一)(4))。
しかるに、原判決は、要するに、控訴人らの内心的感情は「公憤ないし
義憤である。」、「間接民主制の下における政策批判、見解の正当性を広
めるための活動等によって回復されるべきものである。」として、法的保
護に値するものではないとした。
しかしながら、右判示によれば、およそ国の行為による慰謝料請求は生
じえないことにもなりかねず、到底容認できない。原判決は個人の精神的
被害の問題を民主主義(間接民主制)の持つ一般的手続課題にすり替えて
しまったものというべきである。
五 湾岸戦争の実態と国際法違反について
1 控訴人らは、本件訴訟において、湾岸戦争に加担した被控訴人の行為
---------------------------------------------
の違憲違法性の確認と、それによって控訴人らの受けた損害の賠償を求
めているものであるから、その争点は、被控訴人の行為の違憲性であり、
それによって受けた控訴人らの損害である。したがって、右争点に対す
る判断として、被控訴人の行為が具体的に判断されねばならないし、そ
のためには、被控訴人が加担した武力行使の実態とその結果を評価する
ことが不可欠である。
しかるに、原判決は、湾岸戦争の実態には全く言及せず、被控訴人の
行為についても全く判断していない。原判決は、最初から棄却の結論を
用意し、被控訴人にとっては真正面から問題にしたくなかった武力行使
の実態や、被控訴人の加担行為の本質に全く言及しないですむレトリッ
クを創造したとしかいいようがないのである。
____________8_____________
2 特に、控訴人らの損害賠償請求の当否を判断するにあたっては、湾岸
戦争の実態を検討することが必要不可欠である。なぜならば、不法行為
において違法性が認められるかどうかは、被侵害利益の種類と侵害行為
の態様の両面の相関関係から考察すべきであり、被侵害利益が強固に確
立していないものを侵害した場合でも、侵害行為の不法性が相当に大き
い場合には違法性が認められる。本件においては、本件拠出及び本件派
遣が違憲であることは明白であるが、国の加担した武力行使の残虐性と、
それによる被害の重大性によって、国の行為の違法性の程度、重大性が
規定されるのであるから、被控訴人が加担した湾岸戦争のあまりに不正
義で悪質な実態と被害の深刻さ、被控訴人の関与の重大性を判断しては
じめて、被控訴人の侵害行為の不法性を判断しうるのである。
---------------------------------------------
原判決も、個人の内心的な感情も、その侵害の態様、程度のいかんに
よっては、不法行為の成立する余地があることは認めながら、肝心の侵
害行為の態様には言及しないまま、こうした個人の内心的感情が法的保
護に値するものであるということはできないと判示する。しかしながら、
原判決のいう侵害の態様、程度を判断するには、被侵害利益だけでなく、
侵害行為を具体的に評価しなければならない。侵害行為を判断対象から
全く捨象したまま、侵害の態様、程度を判断することなどありえないの
である。
3 そこで、湾岸戦争の実態について、すなわち、湾岸戦争の大義名分が
全くの虚構であり、その実態が非道かつ凄惨であったことを、改めて述
べると、以下のとおりである。
____________9_____________
(一)米国及びその武力行使に加担した被控訴人のこの戦争を起こすにつ
いての大義名分は、(1) すべての発端はイラク共和国が独立主権国家た
るクウェート王国を侵略し一方的に併合する宣言を出したことにある、
(2)多国籍軍の行為は武力行使までも認めた国連安保理決議六七八等の
忠実な履行である、というものである。
しかし、(1)について、イラクの行為が国際法上許されない侵略行為
であることは間違いないが、問題なのは、米国が経済制裁で事足りる
ものを戦争回避の努力を全く無にして大量虐殺を繰り広げたことであ
るし、(2)については、安保理決議の合法性やその解釈自体に問題があ
る上、多国籍軍の行為が夥しい国際法違反行為の連続であり、安保理
決議の容認した範囲を完全に逸脱しているのである。
---------------------------------------------
(二)そもそも、中東で戦争を望んでいたのはイラクではなく、米国であ
った。その意図と目的は、ソ連の崩壊を米軍の中東常駐の絶好の機会
と考え、石油資源の支配による圧倒的な勢力を構築することにあり、
原油価格に対する支配力強化と利益の増大を望む石油会社、中東への
武器販売と国内の軍事契約に依存する軍需産業に支えられていた。
米国が、クウェートからのイラクの撤退を平和的手段で実現する可
能性を追求しようとせず、あえて戦争に踏み切り、しかも、イラクの
社会的基盤まで根こそぎ破壊するような攻撃をし続けたのは、イラク
の国力を弱め、そのOPEC内での発言力を奪い、石油メジャーによ
る石油利権の独占を果たすためにほかならなかったのである。
そして、湾岸戦争の結果、米国は、サウジアラビアなどに海・空軍
____________10_____________
を長期駐留させることが可能になり、イラクの軍事的脅威を取り除き、
クウェートのみならず、サウジアラビア、アラブ首長国連邦にも決定
的な影響を行使することが可能となったのである。
(三) イラクは平成二年八月二日クウェートに侵攻し、同国を占領した。
米国は、同月八日、イラク軍がサウジアラビアを侵攻する可能性が
あるという理由で、サウジアラビアに同年二月初句までに二○万人、
その後三○万人という大軍を派遣した(「砂漠の盾」作戦)。
しかし、右理由は口実にすぎない。この時期に、米国政府は、イラ
ク共和国警備軍がクウェート南部からイラク本土に撤退しているとい
う報告を受けていたし、戦争終了後もイラクがサウジアラピアに侵攻
しようとしていた形跡は全くなかったのである。
---------------------------------------------
また、米国が投入した右兵力はイラク軍の兵力を圧倒しており、こ
のことからも、米国は、少なくとも湾岸危機の当初からイラクとの戦
争を決意し、イラク全土を徹底的に破壊するつもりであったものとい
える。
さらに、イラクのクウェート侵攻に関して、国連安保理で、経済制
裁に関する安保理決議六六一(同年八月六日)、決議六六五(同月ニ
五日)、決議六七○(同年九月二五日)がされ、これに基づく経済制
裁は、包括的かつ強制的で極めて強力なもので、イラクに対するその
効果は絶大であった。しかるに、米国は同年一一月八日、右のとおり
米軍を五○万人に増派する決定を下し、事実上戦争の道を選択した。
これに対し、同月末から翌月初めの米国軍事委員会では、大軍増派で
____________11_____________
はなく経済制裁の継続が正しいとする異論があり、激論が交わされて
いる。このように、経済制裁が現に功を奏していたにもかかわらず、
多国籍軍は戦争に踏み切ったものである。他に選ぶべき選択があった
のにあえて開戦した、これを正義の戦争ということはできない。
なお、湾岸危機勃発直後から、イラク軍のクウェートにおける残虐
行為が頻繁に報道され、これが湾岸戦争を正当化し可能にすることと
なったが、中でも、同年一○月一○日の少女ナイラの証言は米国そし
て全世界の湾岸戦争への支持を一気に盛り上げた。ところが、右少女
はワシントン駐在の駐米クウェート大使の娘で、右証言は米国広告代
理店が事前にリハーサルをさせ演出したものであり、戦時の宣伝工作
であることが事後に判明した。
---------------------------------------------
(四)同年二月二九日、国連安保理事会は、決議六七八を採択した。こ
の決議がイラクに対する武力制裁を容認しているとして、多国籍軍側
諸国の湾岸戦争遂行の最大の正当性の根拠とされている。
しかしながら、米国政府は、同決議が採択されるよう、公然と贈賄、
恐喝、圧力行使を行ったものであり、このようにして成立した決議が
国際社会の良識ある理性的な判断とはいいえない。この決議に実質的
意義はなく、今回の武力行使の違法性がこの決議を理由にいささかも
薄れることはないのである。
(五)平成三年一月一七日、「砂漠の嵐」作戦と命名された大規模なイラ
ク攻撃作戦が開始された。これは、史上最も激しい空爆といわれ、い
わば一方的な殺戮であった。
____________12_____________
米国政府は、湾岸危機・湾岸戦争の期間を通じ、中東に派遣された
米国軍の動静に関するジャーナリストの取材、報道活動に厳しい制約
を加え、報道管制や情報操作による世論操作が行われた。前記少女ナ
イラ証言のほか、例えば、空爆についてピンポイント攻撃と称して、
一般市民を巻き添えにしない正確な爆撃である旨が盛んに宣伝された
が、事実は誘導爆弾の割合は一○パーセント以下であり、その誘導爆
弾も一五パーセントは目標をはずれ、市民に重大な被害を与えていた。
また、同年一月二五日には、油にまみれた水鳥の悲惨な映像が流され、
これがイラクによる環境テロであるとさかんに報道されたが、実際は、
米軍が誘導爆弾により爆撃した原油貯蔵施設から流出した油によるも
のであった。
---------------------------------------------
右空爆によるイラクの死者は一○万人以上となり、上水施設、下水
処理場、病院、動物ワクチン工場や野菜種子倉庫なども爆撃破壊され
た。また、多国籍軍の戦略目標は、五四の鉄道、道路の橋、発電施設、
電話電信センター、テレビ・ラジオ送信局、石油生産精製供給センタ
−など社会の基本的下部構造施設を含んでいたため、戦後も一○万人
単位の市民の犠牲者を出すこととなる。さらに、多国籍軍は、三一の
核、生物、化学兵器施設を攻撃したところ、化学兵器施設への爆撃に
より神経ガスの大気への放出が認められているが、核施設破壊による
核汚染についてはまだ判明していない。
(六)同年二月二四日、「砂漠の剣」作戦と命名された地上戦が開始され
た。同日、イラク軍はクウェート市からの撤退を始めていたにもかか
____________13_____________
わらず、多国籍軍は、イラク軍撤退の兆候はないとして戦争を継続し
た。
同月二六日夜にはイラク軍は完全にクウェート市から撤退したが、
戦争は継続された。その際、「地獄へのハイウェイ」と呼ばれるよう
になる作戦行動が行われ、イラクの軍用車両のクウェート市外への脱
出を許した上、これを停止させて、空爆により繰り返し猛攻撃が加え
られた。
また、地上戦ではイラク兵が米陸軍により生き埋めにされたことや、
停戦後の殺戮の事実も報告されている。
(七)湾岸戦争による被害は以下のとおりである。
イラク軍兵士の戦死者は一○万人から一二万人、捕虜となった兵士
---------------------------------------------
は八万人から一五万人と推計されている。空爆によるイラク市民の死
者は二万五○○○人と推計されるが、爆撃によるイラク都市部の市民
生活の基盤の破壊により、停戦後の死亡者は一○万人に及ぶと考えら
れる。空爆により、道路、橋、鉄道網が破壊され、またイラクの石油
産業は五○パーセントから一○○パーセント破壊された。イラクの復
興費用は二○○○億ドルといわれている。このような徹底的な破壊は、
イラクのクウェートからの撤退という目的達成の手段としては必要な
く、あまりに限度を超えたものであり、イラクの国力低下がその目的
であったことは明らかといえる。
湾岸戦争により、南部戦線に住むイラク人、クウェート人、シーア
派、クルド人、反政府グルーブ、外国人労働者とその家族ら五○○万
____________14_____________
人以上が生活を破壊され、平成二年八月以降、六○○万人を超える人
々が難民となった。難民の死は戦争直後一日最低一○○○人であった
が、イラクの公共活動の混乱によって、難民の移動と人命の喪失は拡
大するであろうとされている。
また、イラクは人類最古の文明の発祥地であり、無数の考古学上重
要な遺跡が存在し、バグダッドは二○世紀におけるアラブの芸術・文
化ルネッサンスの中心であったが、多国籍軍の攻撃により考古学遺跡
が破壊され、二○○○年の昔から続いてきたイラクの文化が灰燼と帰
した。
空爆によりペルシャ湾に流出した原油の量は七五○万バレルと考え
られており、同湾の四○○平方マイルの海域が原油に覆われた。同湾
---------------------------------------------
は極めて浅く、その生物資源の多くは浅いところにあり、石油の汚染
の影響を特に受けやすい。二万羽の鳥が死に、海亀や海洋性哺乳動物
など多くの生物の生存が脅かされている。石油施設への攻撃により油
田地帯に大規模な火災が発生し、イラン、トルコ、ブルガリア、ソ連
南部、アフガニスタン、パキスタン、インド・カシミールのヒマラヤ
地方まで火災の煙が広がり、黒い雨が降った。石油関連汚染物質によ
る人体への影響は今後も増え続けるであろう。
4 湾岸戦争の国際法違反性
控訴人らの平和的生存権、納税者基本権や、人格的利益の侵害の有無、
侵害の程度を判断するために、特に、被控訴人の侵害行為の不法性を判
断するためには、国際法も検討されねばならない。国が当事者である本
____________15_____________
件のような場合には、国家の権利義務の規範である国際法が特に重視さ
れるべきは当然である。湾岸戦争が国際法上いかに不法なものであるか
を評価してはじめて、被控訴人がこの戦争に加担した行為の不法性を判
断しうるのであり、被控訴人の行為の国際的な法秩序違反性が著しけれ
ば、本件不法行為の成立が認められることにつながるのである。
(一)被控訴人は、湾岸戦争に加担するにあたって、この戦争がいわゆる
武力行使容認決議といわれる安保理決議六七八に基づいて行われた戦
争であって適法であるとしてきたが、右決議の効力には以下のとおり
の問題がある。
まず、決議成立に関する手続上の問題点として、国連憲章二七条三
項は、国連安全保障理事会の手続事項以外のすべての表決は常任理事
---------------------------------------------
国の同意投票を含む九理事国の賛成投票によって行われると規定して
いるが、右決議の採択の際、常任理事国である中国が棄権しているか
ら、右決議は右条項に違反し無効である。
また、右決議は賛成一二、反対二、棄権一で採択されたが、これは、
米国がすべての理事国に対する利益供与もしくは援助打ち切りの恫喝
をもって、いわば決議を買い取ったものであるから、仮に形式的には
右決議が有効であったとしても、その成立の有効性については重大な
疑義があるといわざるをえない。
(二)国際法による戦争の法的規制の方法には、戦争開始そのものを規制
するものと、戦争中における戦争方法を規制するものがあるところ、
湾岸戦争は、戦争開始そのものを規制する国際法に違反する。
____________16_____________
すなわち、国連憲章第一章中の二条三、四項は、武力行使の原則的
禁止を宣言し、国連憲章四二条以下に定める国連自身が行う軍事的強
制措置又は五一条に定める個別的集団的自衛権の行使のみをその例外
としているところ、安保理決議六七八による本件武力行使は、右のい
ずれにも該当しない上、このような大規模な武力行使は、慣習的に国
連憲章に違反しないものとされてきたいわゆるPKOに類するものと
して許される余地もない。
したがって、多国籍軍による本件武力行使は、国際法上開始を許さ
れないものであり、これに加担した被控訴人の行為もまた国際法上違
法である。
(三)国際法においては、武力戦争において紛争当事者が選ぶ戦闘の手段
---------------------------------------------
と方法も様々に規制されており、戦闘の手段方法に関する一般原則と
して、均衡性の原則(軍事的必要を超えて不必要な苦痛を与える性質
を持つ兵器や戦闘方法の禁止)、軍事目標主義(戦闘員と非戦闘員、
軍事目標と非軍書目標は区別され、それぞれ後者は敵対行為の直接の
影響から保護しなければならない。)が定められている。
しかしながら、多国籍軍は、クウェートからの撤退には不必要な大
量殺戮を繰り返し、イラクの上下水道、発電施設、通信網、病院、保
健衛生施設などを徹底的に破壊したもので、この多国籍軍の武力行為
は、右の均衡性の原則に違反し、軍事目標主義にも当然違反する。
さらに、イラクへの核施設への攻撃は、危険な威力を内在する工作
物への攻撃を禁じた「国際的武力紛争の犠牲者の保護に関する条約」
____________17_____________
五六条に違反し、油田施設への攻撃は同条約五五条に違反する。また、
いわゆる地獄へのハイウェイ事件は、同条約四一条に明白に違反する。
そして、このような武力行使は、イラクのクウェートからの撤退に
必要な範囲をはるかに超えており、右撤退を目的とする安保理決議六
七八自体に違反するもので、国際法上の根拠を全く欠いた違法な武力
行為である。
六 原判決における違憲判断回避の誤り
1 控訴人らが本件訴訟を提起した目的は、被控訴人の明らかな憲法九条
に違反した武力行使を阻止し、既にされた武力行使を違憲行為として確
認し、被控訴人が再びこのような違憲行為を繰り返さないための保障と
して控訴人が受けた精神的苦痛の損害の賠償を求めるものである。
---------------------------------------------
しかるに、原判決は、憲法九条に違反する被控訴人の行為を明確に指
摘して控訴人らの請求を認容することができたにもかかわらず、憲法判
断に入る論理課程を意図的に回避して、控訴人らの請求を退けた。その
結果、被控訴人の行為によって、戦争の惨禍を起こしたことを結果的に
容認し、被控訴人の違憲行為に加担する役割を果たしたものである。
すなわち、自衛隊は憲法九条に違反するという解釈は通説であり、判
例であるにもかかわらず、裁判所は、自衛隊並びに駐留米軍の存在又は
行動について憲法九条の適用・解釈を迫られた場合、その適用を回避す
るのが一般的傾向であるが、これは、自衛隊並びに駐留米軍は憲法違反
であるという判断をせざるをえないことから、そうした判断を避けるた
めに、さまざまな理由をもって同条の適用を回避してきたものである。
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しかしながら、このような司法の態度は、裁判官の憲法を遵守する義
務を放棄するものであるばかりか、行政のした違憲行為を結果的には追
認することになったといえるもので、現在に至るまで、自衛隊はその違
憲状態を限りなく増殖し、憲法九条が存在しないかのごとき状態を現出
するに至っているが、このことに対する司法の責任は極めて重大である。
司法は、違憲判断を回避することによって、違憲状態の存続に協力して
きたのであって、すなわち、司法が憲法判断を回避すること自体が極め
て政治的な行為なのである。統治行為論や政治的問題であることを理由
に憲法判断を回避するのは無意味なことであり、自己矛盾である。
2 原判決のように、平和的生存権や納税者基本権の裁判規範性を否定す
べきであったとしても、被控訴人の戦争加担行為の事実を認定し、その
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違憲判断に踏み込むことは可能であった。それにもかかわらず、原判決
はこれを回避したのである。
すなわち、請求原因書実のうち、その一事の判断をもって請求棄却と
なるべき事由がある場合に、まずその点に対する判断をして請求を棄却
すべきであるという原則は存在しない。結論に関連しない請求原因事実
の判断を放棄することが常に正しいとは限らない。むしろ、請求権の存
在の根拠となる事実に関して論理的な順序に即して判断していくことが
常識的であり、裁判所への国民の期待に添う所以でもある。それによっ
てこそ、裁判を通じて訴訟当事者間の権利の有無を明らかにするという
だけでなく、結論に至る法的論理を明確化して多くの国民の納得を得る
という、重要な司法の役割を全うすることができるというべきである。
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第三 証拠関係
本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを
引用する。
第四 当裁判所の判断
一 当裁判所も、当審における証拠調べの結果によっても、控訴人**らの
本件違憲違法確認の訴えはいずれも不適法であるから却下すべきであり、
控訴人らの損害賠償請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断
するが、その理由は、以下のとおり当審における控訴人らの主張に対する
判断を付加するほかは、原判決「事実及び理由」第三に記載のとおりであ
るから、これを引用する。
(当審における控訴人らの主張に対する判断)
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1 本件違憲違法確認の訴えの確認の利益について
控訴人**らは、一つの平和的生存権の侵害を見過ごせば、さらに大
きな権利侵害に至るもので、この違法の連鎖を断ち切るために最もふさ
わしいのは、当初の平和的生存権の侵害につき違憲違法を確認すること
であると主張するが、控訴人**らの主張する平和的生存権が民事法上
の具体的な請求権の根拠となるものであり、これらの権利が本件拠出及
び本件派遣によって現に侵害されており、その権利の実現を被控訴人に
請求することができるものというのであれば、侵害につき違憲違法の確
認を請求するにとどまらず、具体的に当該権利の行使として権利侵害の
除去を求め、あるいは右権利が侵害された被害の損害の賠償を請求すべ
きものであることは原判決の判示するとおりであるところ、控訴人**
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らの主張するようなその後に生じうる別の権利侵害を防止する必要があ
るのであれば、端的にその権利侵害につき差止め等の救済を求めるべき
であって、右必要があるからといって当初の権利侵害の違憲違法を確認
する利益を認めることはできないというべきである。
また、控訴人**らは、国が一つの戦争加担行為を行うことにより、
国と国民との間にはこれに連鎖する多くの権利関係の変動が生ずるから、
当該違憲違法行為から現在に至る連鎖した権利関係の変動をすべて特定
してその無効の確認を求めたり、その除去や被害の賠償請求をするより
も、国の当該根幹的行為を違憲違法と確認してその後の違法行為の連鎖
を断ち切ることこそが、平和的生存権侵害の救済手段として最も有効か
つ適切というべきであると主張するが、右主張からは、過去の行為であ
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る本件拠出及び本件派遣に連鎖して具体的にどのような権利関係の変動
が生ずるかは明らかではなく、右主張は採用できない。
さらに、控訴人**らは、平和的生存権は、本来各国民に平和のうち
に生存する利益を保障する実効的な権利であり、戦争を予防する権利と
もいえるのであって、事後的に平和が侵害されたことに対する金銭賠償
では意味がなく、権利の中核部分については金銭賠償になじまないとい
うべきであるし、少なくとも金銭賠償のみで償われる権利ではないと主
張するが、そうであるとしても、そのことから、過去の行為の違憲違法
を確認する利益を肯認すべきであることにはならないものであって、控
訴人らの右主張も失当である。
2 平和的生存権について
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控訴人らは、原判決は、根拠規定の具体性の欠如のみを理由として平
和的生存権の権利性を否定したが、これはいわば違憲判断回避のロ実に
すぎず、平和的生存権が憲法上保障された他の権利と比較して抽象的に
過ぎるということはなく、平和の内容も多義で確定しえないものではな
いと主張する。
しかしながら、平和的生存権をもって、個々の国民が、国の平和実現
のための施策の履行請求や作為義務の存在確認、国の平和遵守義務違反
行為についての違憲違法確認や差止め請求を求めうる具体的権利である
とか、具体的訴訟における違法性の判断基準となるといったような裁判
規範性を有するそれ自体独立の権利ということはできないというべきこ
とは原判決の判示するとおりであって、この点の原判決の判断は相当と
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いうべきであるから、控訴人らの右非難は的を射たものではないといわ
ざるをえない。
3 納税者基本権について
控訴人らは、原判決は、旧来の明治憲法下の税金の徴収と使途を分断、
峻別する理論を踏襲するものであり、日本国憲法のもとにおいては、そ
の規定する財政に関する基本原則及び租税概念を前提として、納税者基
本権という新たな人権が成立すると解さなければならないと主張する。
しかしながら、憲法を直接的な根拠にして控訴人らの主張する納税者
基本権を国民の主観的権利ないし利益として導き出すことはできず、こ
のような権利を認めた規定は存在しないというべきことは原判決の判示
するとおりであって、この点の原判決の判断は相当というべきであるか
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ら、控訴人らの右主張は採用できない。
4 法的保護に値する被侵害利益について
控訴人らは、原判決は、控訴人らの戦争に加担しないで平和に生きた
いという思い、人殺しに加担したくないとの信念、自己の納める税金を
戦費に使用させたくないとの切実な願いなどの内心的感情は、「公憤な
いし義憤である。」、「間接民主制の下における政策批判、見解の正当
性を広めるための活動等によって回復されるべきものである。」として、
法的保護に値するものではないとしたが、これによれば、およそ国の行
為による慰謝料請求は生じえないことにもなりかねず、到底容認できな
いし、個人の精神的被害の問題を民主主義(間接民主制)の持つ一般的
手続課題にすり替えてしまったものというべきであると主張する。
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しかしながら、個人の内心的感情も、それが害されることによる精神
的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えるような場合には、人格的な
利益として法的に保護すべき場合があり、それに対する侵害があれば、
その侵害の態様、程度いかんによっては、不法行為が成立する余地があ
るものと解すべきであるが、内心的感情を害されることによる精神的苦
痛が社会通念上受忍すべき限度を超えたと評価されるためには、一定の
特殊な地位にあること等によって通常の社会生活の中では生じえないよ
うな深刻な不快感、焦燥感等が生ずるなどすることが必要であると解す
べきであるところ、控訴人らの主張する精神的苦痛はこれに該当しない
ものといわざるをえないことは原判決の判示するとおりであって、この
点の原判決の判断は相当というべきであるから、控訴人らの右非難は的
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を射たものとはいえない。
5 その余の控訴人らの主張について
控訴人らは、原判決は、湾岸戦争の実態や、本件拠出及び本件派遣の
違憲違法についての判断を回避していると非難するが、控訴人**らの
本件違憲違法確認訴訟が不適法であり、また、控訴人らの損害賠償請求
については、控訴人らが本件拠出及び本件派遣により侵害されたと主張
する権利ないし利益がいずれも損害賠償により法的保護を与えられるべ
き利益とはいえず、右損害賠償請求には理由がないこととなる以上、そ
の余の点について判断するまでもないことは原判決の判示するとおりで
あって、この点につき原判決に何ら違法若しくは不当な点は認められな
いというべきである。
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二 よって、控訴人**らの本件違憲違法確認の訴えをいずれも却下し、控
訴人らの本件損害賠償請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件
控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担
について、民事訴訟法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり
判決する。
東京高等裁判所第四民事部
裁判長裁判官 矢 崎 秀 一
裁判官 山 崎 健 二
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裁判官 筏 津 順 子
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(当事者目録は省略)