自衛隊カンポジア派兵訴訟(大阪訴訟)最高裁判決文


 11月16日午前10時半から最高裁第3小法廷で、大阪カンボジアPKO派兵違憲訴訟上告審判決がありました。結果は予想通り上告棄却、「理由」は昨年11月の関連訴訟と全く変わらないものでした。判決文は全35頁、理由でも述べているのかと思いきや、こちらの上告理由を添付しているだけ、本文はわずか3頁だけでした。

 最高裁からの、判決言い渡し事前通告(判決法廷開廷)は今月5日にありました。ご存じのように、昨年11月20日から26日にかけ、鹿児島・名古屋・東京・大阪(掃海艇)の湾岸関連と東京PKO訴訟など5件が、たてつづけに事前通告もなく上告棄却判決がありました。

 ですから今回に限り「何故、どうして」と驚いたのですが、弁護士に聞きくと「新民事訴訟法施行によるもの」と言うことでした。大阪・PKOは昨年12月に上告したのですが、前記5件のうち、大阪(掃海艇)が昨年2月、鹿児島が3月、東京・PKOが4月にそれぞれ上告しています。従って、新民事訴訟法の実施(5月頃からでしょうか?)以後上告した事件については、事前に通告し判決法廷が開かれるようになったようです。

 午前中の判決とあって朝5時頃に起き、大阪からは僕と江菅(えすが・事務局長)さんが参加しました。大阪のほかの原告の方は参加できないとのことで、E・メールしたり、鈴村さんや神納さんに連絡して応援を頼みました。それで、最高裁に入ったこともある信太さん、枝さん、米丸さんが駆けつけてきてくれました。後から小管さんも来てくれたのですが、“開廷15分前に傍聴は締め切り"ということで入廷はできませんでした。

 ご存じの方もいるかと思いますが、最高裁の新しい建物の外装はまるで城の石垣を思わせる冷たい「石の館」です。内部も御影石の壁、幾つもの階段があり、迷路のように曲がりくねって、職員の案内なくしては到底小法廷(4階、エレベーターなし)にたどり着くことはできません。その職員ですら「私たちも時々迷うことがあります」と言うくらいでした。(何となく姫路城を思い出しました。敵が真っすぐに攻め入ってこないように、まがりくねっていて、まごまごする敵に石落とししたり、小窓から弓矢・鉄砲で狙い撃ちするわけです。)

 豪華絢爛の装飾が施してあるわけではありませんが、小法廷の天井は普通の三倍くらいの高さ、5人の裁判官席は一段と高く、すべての作りは大きくゆとりが取られ、その意味ではやはり豪華で威圧的なものでした。

この日、被告、原告代理人の出席はなく、私たちは傍聴券番号順に5人が座りました。僕と江菅さんは「上告人だから前の席に座れないのか」と廷吏に聞くと、「代理人でないと駄目」という返事でした。「そんなのおかしいよなあ」など、ぶつぶついいながら裁判官の入廷をまちました。手荷物はすべて受付に預けて下さいとか、「裁判官入廷と同時に起立してください」とか職員はなにかにつけてうるさい。後から気が付いたのですが、傍聴券には5項目の「傍聴人心得」(不体裁なことをするな、席を離れるななど)が書いてありました。
 
 判決言い渡しは主文を読むだけで、20秒足らずのうちに終わりました。判決書は「担当処務室まで取りに来い」ということで、これ又案内なくしてはややこしくて行けないところでした。最高裁の傍聴は南門から入ることになっているようですが、外に出ると小管さんが残念そうに待っていました。(普通、開廷の途中でも入廷できます。この日の判決は私たちの事件が一件だけでした。)そのあと、近くの喫茶店で雑談したり、砂防会館で昼食を奢ってもらったりで、応援に駆けつけて下さった東京の皆さんに、逆にお世話になりました。ありがとうございました。

 大阪も、掃海艇・市民平和訴訟・PKO訴訟・ゴラン訴訟原告参加など、これらをもって関連訴訟への取り組みは終結したことになります。年内にはこれら4訴訟の集まりをもち、今後の「身の振り方」を検討したいと思っています。このほか、「思いやり予算」の訴訟もあるわけですが、一審は第6回で抜き打ち結審。控訴審も第1回(10月13日)で、裁判所は早くも次回・次々回を入れるなど早期結審をほのめかしています。

 そういうわけで大阪は一応終わりましたが、あと、名古屋のPKO訴訟が11月30日に控訴審判決。広島(平和・PKO併合)が、9月30日に控訴審判決があり、足立弁護士ら代理人2名と、藤井純子さんら本人5名で上告しました。(弁護・訴訟団としては上告せず。)また、「政教分離」でもある、渡辺さんたちの福岡の8・15訴訟は、来年1月21日に結審となります。(このほか、自衛官による掃海艇訴訟は、東京地裁で、20回以上弁論を重ねていますが、その後どうなったか知りません。もし分かる方は教えて下さい。)

 ガイドライン関連法が成立施行され、ひたひたと軍靴の音が迫ってくるなか、裁判所は主文はともかく、「傍論」においても私たちの真意をくみ取ろうとしませんでした。極めて残念なことですが、10年近くの湾岸・PKO関連訴訟は全面的に敗北です。しかし、この終わりはまた新たな始まりでもあります。がんばりましょう。以下は判決文です。

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平成一一年(オ)第三八七号
判   決
                 上 告 人  別紙上告人目録記載のとおり
      右六三名訴訟代理人弁護士
                位  田     浩
                大  野  町  子
                岡  田  義  雄
                加  島     宏
                金 井 塚  康 弘
                冠  木  克  彦
                中 北  龍 太 郎
                中  島  光  孝
                藤  田  一  良
           被上告人 国
            右代表者法務大臣 臼井日出 男
            右指定代理人 内田高城


 右当事者間の大阪高等裁判所平成八年(ネ)第一六六一号損害賠償講求事件について、同裁判所が平成一〇年一二月三日に言い渡した判決に対し、上告人らから上告があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。
          主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
    理   由
 上告代理人位田浩、同大野町子、同岡田義雄、同加烏宏、同金井塚康弘、同冠木克彦、同中北龍太郎、同中島光孝、同藤田一良の上告理由について原審の適法に確定した事実関係及び記録に照らせば、本件確認の訴えをいずれも不適法とし、損害賠償を求める請求を理由がないとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、違憲をいう点を含め、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


               最高栽判所第三小法廷
           裁判長裁判官  金  谷  利  廣
           裁判官  千  種  秀  夫
           裁判官  元  原  利  文
           裁判官  奥  田  昌  道
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