関西市民平和訴訟:控訴審判決文



平成一〇年六月二四日判決言渡・同日原本交付 裁判所書記官(印)
平成八年(ネ)第一一九二号九〇億ドル支出差止等、国家賠償等請求控訴事件
(原審・大阪地方裁判所平成三年(ワ)第一五一四号、同年(ワ)第三九〇六号)

口頭弁論終結の日 平成一〇年四月二四日

    判   決 

  控 訴 人          別紙控訴人目録記載のとおり
  右控訴人ら訴訟代理人弁護士  位田  浩
  同              加島  宏
  同              金井塚康弘
  同              川下  清
  同              中北龍太郎
  同              原田 紀敏
  同              藤田 一良
  同              藤田 正隆
  同              三上  陸
 東京都千代田区霞ヶ関一丁目一番一号
  被 控 訴 人        国
  右代表者法務大臣       下稲葉耕吉
  右指定代理人         種村 好子
  同              木村 訓受
  同              鈴木 衣代
  同              橋本 尚文
  同              新居 雄介

    主   文 
  一、本件控訴を棄却する。
  二、控訴費用は控訴人らの負担とする

    事   実 
第一 当事者の求めた裁判
 一 控訴人ら
 1 原判決を取り消す。

   (違憲確認請求)               《3頁》
   被控訴人が、自衡隊法一〇〇条の五第一項に関する平成三年
  一月二五日公布政令第八号「湾岸危機に伴う避難民のの輪送に
  関する暫定措置に関する政令」を制定・公布したことは、違憲
  であることを確認する。
   被控訴人が、湾岸協力会議に設けられた湾岸平和基金に対し
  九〇億ドルを支出したことは、違憲であることを確認する。
   被控訴人が、海上自衛隊の掃海艇母艦、掃海艇及び補給艦並
  びに自衛隊員をペルシャ湾に派遣したことは、違憲であること
  確認する。  

  (国家賠償請求)                《4頁》
   被控訴人は、控訴人らに対し、各一人当たり二万円を支払え。
 2 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
 3 第1項の金員支払請求部分につき仮執行の宣言
二 被控訴人
  本文と同旨
第二 当事者の主張
  当事者の主張は、次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判
 決の事実摘示のとおりであるから、これを引する。
1 原判決一〇頁四行目から五行目にかけての鍵括弧内を「湾岸危

 機に伴う避難民の輸送に関する暫定措置に関する   《5頁》
 政令」と改める。
2 同一二頁七行目の「平和憲法に成立過程」を「平和憲法の成立
 過程」と改める。
3 同一三頁八行目の「侵略戦争製作」を「侵略戦争政策」と、同
 一四頁七行目の「軍事不保持規定」を「軍備不保持規定」と、同
 一五頁一〇行目の「国際強調主義」を「国際協調主義」とそれぞ
 れ改める。
4 同三九頁八行目の次に行を改めて、次のとおりけ付加する。
  「そして、日米両首脳は、平成八年四月に『日米安全保障共同

 宣言』(いわゆる安保『再定義』宣言)を発表し、  《6頁》
 右宣言にした がってガイドラインの見直し作業が進められ、日
 米両国政府は同九年六月八日に中間報告を公表した。右中間報告
 によれば、ガイドラインの見直しは、日米軍事協力をアジア、太
 平洋の日本周辺地域にまで広げ、周辺有事の際の有事立法を制定
 することも目指されており、自衛隊の海外派遣及び戦争協力活動
 に従事する体制が構築されようとするものである。」
5 同三九頁九行目の「3」を「4」と、同四六頁七行目の「4」
 を「5」にと、同五八頁三行目の「5」を「6」と、同五八頁八
 行目の「6」を「7」と、同五九頁七行目の「7」を「8」と、

 同六七頁末行の「8」を「9」と          《7頁》
 それぞれ改める。
6 同五五頁四行目の「受託者」を「委託者」と、同七三頁九行目
 の「開放され、」を「解放され、」とそれぞれ改める。
7 同七五頁三行目冒頭から、四行目の「正しく、」までを削除す
 る。
8 同七六頁一行目の次に行を改めて、次のとおり付加する。
 「請求原因4(一)ないし(三)は争う。」
9 同七七頁七行目の「請求原因4」を「請求原因5」と、同八〇

 頁四行目の「請求原因5」を「請求原因6」と、   《8頁》
 同頁五行目の「請求原因6(一)」を「請求原因7(一)」と、
 同頁六行目及び七行目の各「請求原因6(二)」を「請求原因7
 (二)」と、同頁末行の「請求原因7」を「請求原因8」とそれ
 ぞれ改める。

  理   由 
一 違憲確認請求について
  控訴人らの本件違憲確認請求に関する訴えは、不適法として却
 下を免れないといわなけれぼならないが、その理由は、原判決八
 一頁末行から同八二頁二行目の「審理、判断されるのであるから、
 」までを次のとおり改めるほか、同八一頁五行目から同八六頁末

 行までのとおりであるから、                   《9頁》
 これを引用する。
  「しかし、控訴人らがその主張する損害の賠償を求めるために
 は、直接的に給付訴訟を提起すれば足りるのであり、現に控訴人
 らは、本訴において右諸権利の侵害を理由として国家賠償請求を
 も提起しているのであるから、」
二 国家賠償請求について
 1 争いのない事実
  原判決八七頁二行目から同頁四行目までのとおりであるから、
 これを引用する。

 2 控訴人ら主張の各法的利益の侵害の有無

  本件政令の制定公布等がなされても、控訴人らの   《10頁》
 右各法的利益は侵害されていないというベきであるが、その理由
 は、原判決九九頁一行目から同一〇〇頁六行目までを次のとおり
 改めるほか、同九二頁九行目から同一〇一頁五行目までのとおり
 であるから、これを引用する。
  「控訴人らは、控訴人ら各人が納付した租税が本件政令の制定
 公布等によって前記湾岸戦争に関する費用に支出されたことによ
 り、憲法一九条で保障された控訴人らの思想、良心の自由が侵害
 されて精神的苦痛を被ったと主張する。
  しかしながら、控訴人らを含む国民らから納付された税金の使

 途は、前記のとおり、主権者である国民の代表者   《11頁》
 による国会の議決を経た予算によって決定されるのであって、控
 訴人らの納付した税金が直接右費用に支出されたものでないから、
 控訴人らの納税と予算の執行としての右費用の支出との間に直接
 の具体的な関連性は存在しない。そうだとすると、右のとおりの
 予算から控訴人らの思想、良心と相容れない右費用に充てる支出
 がなされたとしても、そのことのゆえに控訴人らの思想、良心の
 自由を具体的、客観的に侵害したと認めることは到底できない。
  また、本件政令の制定公布等それ自体は、控訴人らに対して何

 らかの制約を及ぼすというものではないから、        《12頁》
 控訴人らの思想、良心の自由を侵害するものでないことは明らか
 である。」
3 以上によれば、その余を判断するまでもなく控訴人らの本件国
 家賠償請求は理由がない。
三 結 論
 以上の理由により、控訴人らの本件違憲確認請求に関する訴えは
不適法として却下すべきであり、本件国家賠償請求は理由がないか
ら棄却すべきであるから、これと同旨の原判決は相当である。
 したがって、控訴人の本件控訴は理由がないから棄却することと
して、主文のとおり判決する。                        《13頁》


 大阪高等裁判所第四民事部

       裁判長裁判官    武田多喜子

          裁判官    礒尾  正

   裁判官見満正治は転補につき署名押印することができない。

       裁判長裁判官    武田多喜子
 


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