国会で現在新ガイドラインと関連法案が問題となっているが、我々の立場をはっきりさせる必要がある。
憲法には陸海空の戦力は持たないとはっきり書いてある。今日の自衛隊はこれに該当するから違憲であることは言うまでもない。そのことを念頭において、さらに日米安保というものはどういう性格のものか、最初に歴史をおさえておく必要がある。
日米安保条約というのはもともとソ連の脅威を口実にしてアメリカと一緒に軍事的な協力関係を結ぶということが主眼だった。六条は日本国の安全及び極東における平和・安全の維持のためにアメリカの軍隊が日本に基地を利用することを許すと書いてある。五条には日本防衛のために日米で協力する、という2つの主要な目的持っている。
最近の政府の答弁はしきりに安保の枠内といっている。ということは五条や六条の枠内ということで、新ガイドラインは安保の枠をすら逸脱したもの。
1、旧ガイドライン(78・11・27)
安保は60年に改定され、その後アメリカにとってベトナム戦争が起こり、日本の基地を使った。基地利用については地位協定を拡大解釈してはいたが、しかし日本とアメリカの協力関係というのはほとんど無かった。これは60年安保に対する国民の強力な反対運動が日米政府に衝撃を与えたため。
ところが、ベトナム戦争終了後、緊張緩和のとき旧ガイドラインが結ばれた。何故か?アメリカはベトナムでこりて極東から手を引き、朝鮮半島から軍を引き上げようとした。これでは日本の防衛戦略が成り立たないと防衛庁が危機感を抱き、駐留米軍にあらゆる便宜を供与するから日本から引き上げないよう申し入れ、これによって旧ガイドラインがつくられた。
☆旧ガイドラインの内容
侵略の未然防止
日本に対する侵略を防止するためには、米軍が前方展開戦略、日本および朝鮮半島に駐留維持。周辺諸国からの日本に対する核の脅威にたいしてはアメリカの核抑止力に頼る。
日本有事の際の対処行動(独力対処戦略)
侵略されたら、小規模の場合は自衛隊が独力で排除。侵略が能力で手に余るとき、米軍が駆けつけてくるという独力対処戦略。
極東有事の際の米軍への便宜供与に道末尾に目立たず、便宜供与のあり方について研究すると書いてある。安保には基地供与だけで、有事の際の便宜供与については書かれていない。この第3項目の極東有事の際の便宜供与が現在の新ガイドラインにおける周辺有事の際の対米支援という事に繋がる。
☆共同演習・共同研究の進展
侵略の未然防止のために平時から日米間の共同演習を密接に行い、そのための作戦計画も一緒に研究する。これにより共同軍事演習が本格的に行われ始めた。
☆有事立法の研究開始
同時に防衛庁は有事立法の研究を開始した。自衛隊法には防衛のために出動した場合には様々な各種の権限を行使できるようになっている。(道路の使用、陣地の構築、民間病院の使用、野戦病院)しかし、例えば地方自治体に対して誰が連絡の責任者になるのか、出動した自衛隊のどこのレベル迄が権限を持つか、というようなことが何も決まっていない。自衛隊法に様々な権限が盛り込まれながら、これを有効に動かすためには法律・政令を設けなければならない。
○第1分類・自衛隊法の補強
物資の調達とか物資の移動禁止とか医師看護婦の徴用、病院の使用等、様々なことをするにはどういう法律、政令といった法制上の問題があるか。
○第2分類・他官庁関係の法令
他の省庁にはどういうことをやって貰うか、例えば死者を葬るための埋葬に関する法律に特例を設けてもらうとか、民家の立ち退きとかいう強制権限を自衛隊に付与して貰わなければならない。
○第3分類・何処の省庁に属するか明らかでない事項についての法令
他の様々な障害についての研究、例えば、民間船舶とか、航空機の飛行に関する管制、或いは電波・灯火の管制。
90年代の初めまでに一応第3分類まで研究が終わっている。
2、「冷戦終結後」の米国の国防政策と日本
☆米国の事情
90年代に入り、冷戦の終結によって再びデタントの時代が訪れ、国防費を削って福祉に回そうと、大幅な軍縮に向かって踏み出した。ヨーロッパに駐留していた32万の兵力を約10万に削減し、さらに国内の兵力や基地も削減。しかし日本では思いやり予算によって莫大な費用を負担してくれ、フィリッピンから92年に撤退しても極東における兵力の縮小は行われず、当時十数万いたアジア太平洋方面の兵力は韓国駐留を含めて10万前後と変わらない。当時総兵力210万を150万内外まで兵力縮小したことにより、国防省内部・軍需産業・国内の閉鎖された軍事基地からも不満の声が高まり、アメリカは世界の2つの戦場、中東と北朝鮮を中心として大きな紛争が起こった場合対処できるような兵力を持たなければならないということで、ヨ_ロッパ・アジアに十万ずつの兵力を残す。93ー94年にかけて北朝鮮に核疑惑がおこり、緊張が高まった時、当時アメリカが日本に要請したのは1900項目にわたる支援要請。安保条約にはそんなこと何も書いてない。旧ガイドラインにも研究するとしか書いてない。日本はアメリカの要請に応じられず、アメリカ側から持ち出されたのが安保条約の再定義である。
☆日本側の事情
ソ連の脅威がなくなると自衛隊の存在理由も薄れ、91年頃は防衛費削減が取り沙汰され新しい役割の必要性が生じた。日本の国連に対する拠出金がアメリカについで第2位。多額の資金を出しているが、しかし海外派兵はできない。軍事的国際貢献に大きな制約があるという負い目があるため常任理事国入りできない。しかし日米安保の再定義により、アジア・太平洋の安全保障についても一役買うことができれば、常任理事国入りを支援してもらえる。96年4月、クリントン大統領が訪日、日米首脳会談で共同宣言という形で再定義が公表された。「日米安保は日本の防衛のためだけの条約ではない。米軍が日本に駐留しているおかげで、アジア太平洋方面の安全・平和が保たれてきた」これが再定義。
3、日米安保再定義(日米安保共同宣言96・4 ・17)
日米安保再定義の要点
○21世紀に向けての同盟国と規定。首脳同士で無期限延長を確認
○日本に対する侵略に対しては、日米協力対処へ
○日本の防衛のための安保からアジア・太平洋の安全のための防衛関係に主要目的が変更
○協力範囲は極東条項の極東の範囲から周辺地域に拡大された
最近の国会答弁では拡大ではなく日米安保の枠内、極東の政府解釈と同じと強弁している。周辺事態の内容はきわめて曖昧模糊。周辺地域とは、これは安保条約でいっている極東地域と同じだと説明したり、或いはそれにはとらわれず、地理的概念ではなく事態の性質に着目した概念であるとか、いい加減なことを言っている。結局は周辺事態の具体的な定義を日本政府は避け、アメリカが周辺事態と認める、或いはアメリカが有事として認めて、米軍が日本から出動した場合に、アメリカの便宜を最優先に考えて、アメリカの軍事活動を何時でも支援できる態勢をつくっておきたいというのが、新ガイドラインの内容。
4、新ガイドライン
侵略の脅威に対して平素から協力、侵略への誘惑への抑止
独力対処から日米が力を合わせる共同対処
周辺事態の際の協力
日本防衛よりも、日本周辺地域において米軍が出動するときの対米協力。政府は、民間・地方自治体に対して協力を要請することができる。出動する米軍が日本の民間空港・港湾を利用するときは政府から空港の管理責任者である地方自治体に要請する。地方自治体が要請をはねつけた場合は違法状態が生じる、というのが政府答弁。と言うことはこのガイドライン関連法案ができあがると米軍の軍事活動を支援するために自衛隊のみならず、地方自治体や民間業者までもが協力を強制される。
5、参戦への道
米軍の軍事活動に対する協力は後方地域において行われる。では一線を画した地域とは政府の答弁によると、日本の周辺地域はもちろん公海・公空においても、そこが戦闘地域になってない、或いは戦闘地域になる見込みが薄いという所は自衛隊はそこまで米軍のために色々な補給物資を輸送できる、あるいは民間業者でもそこまでの協力を要請できる。民間病院、医療関係の人も、米軍の死傷者が出た場合、これを収容するということも可能になってくる。日本は後方地域の支援だから安保条約の枠内であるし、憲法にも抵触しないといっているが、近代戦争においては、前線も後方も一体として戦われ、前線を叩くよりはむしろ後方を叩いたほうがいい、これが今日の戦争の常識。政府が無理やり国会を通過させようとしている周辺事態関連法案、その外の2つの法案はまさに日本をアメリカの戦争にのめり込ませるための法案であると言わざるをえない。
6、脅威はどこから来るか?
昨年のテポドンの発射、北朝鮮によると人工衛星の実験、によって北朝鮮が何時でも日本に攻撃できるようなミサイル発射攻撃能力を持つに至ったことは明らかになった。そこで、外務省・防衛庁はしきりに北朝鮮の脅威をいっているが、本来、日本と北朝鮮には軍事的に争わなければならない争点はない。北朝鮮を敵視して、ミサイルで狙われるかもしれない、というのは結局日本における米軍基地の存在である。基地が存在するために中国からもミサイルの照準の的にされている。昨年クリントンが訪中して江沢民とお互いにICBMの照準をはずしたことになっている。が、日本に対する照準はずしは全く話題にならない。要するに日本はアメリカの前方展開戦略の足場でしかない。
日本に対する脅威全て日米安保条約に基づく基地供与から生じる。日本が周辺諸国から脅威を受ける心配は全くないというのが私の主張。その根拠は、
戦後の国際環境
軍事的争点の消滅
地理的環境内乱
革命要因の不在
諸悪の根源は日米安保にある。1年間の予告期間を置いて何時でも廃棄できるということを踏まえ、日米の軍事的つながりを今後ますます弱める方向に進んでいかなければならない。
[以上]
(質疑応答)
Q)自衛隊自身の軍事能力と周辺事態がおきたら自衛隊はどういう役割を果して、その指揮はどういうふうな形で行われるのか?
A)指揮コントロールシステムは全て米軍を通して行われる、ということになっている。米軍の指揮下におかれることになりかねない。全ての情報は米軍に握られている。昨年の北用箋のミサイル発射でもアメリカは把握しておきながらごく僅かの情報しか日本に流さず、日本はヒステリックに反応して引っ込みがつかなくなった。誤った情報やコントロールをされて日本がアメリカの戦争にどんどんのめり込んでいく恐れは十分にある。
Q)今回のイラク攻撃について
A)仏・中国・露が行きすぎと不快感を示したと言うことは国際的世論の大勢と捉えている。ですからこれ以上の攻撃を引き出せないでいる。
Q)座間などへ行くと3本の旗、国連旗がある、周辺事態法と、アメリカ軍が国連軍の一員として出ていく場合との内容の違いは?
A)アメリカはいつでも国連軍の旗を担いでいるつもり、都合が悪ければ国連旗にものを言わせる。日本政府
は国連の活動に対しては、なるべく支援するということになっていて、PKO協力法案もあるし、国連としての活動とアメリカがもちだせば支
援、しかし国連旗の威力も、北朝鮮に対する侵攻、融和作戦であるとかそういった範囲内でしか効力は認められないと考えている。