NATO軍によるユーゴスラビア空爆に抗議する声明
1 今、NATO軍は1カ月にわたってユーゴスラビア共和国連邦に対して空爆を続けている。セルビア人がアルバニア系住民に対して、民族浄化という国際人道法に違反する不法な攻撃を加えており、冷戦後の新しい国際秩序に敵対しているからという理由である。しかもNATO軍は、空爆だけではセルビア人の攻撃を阻止できないとして、地上軍の派遣を検討していると伝えられている。ここ数週間内にNATOの地上軍がユーゴスラビアに侵攻する事態が発生するおそれはきわめて大きい。
2 われわれは、世界人権宣言と国連憲章を擁護する立場から、現在継続しているNATO軍による空爆が国際法に違反し、国連憲章の武力不行使の原則、主権尊重の原則を真っ向から侵害していることを強く抗議する。われわれは、アメリカ軍を先頭とするNATO軍に対して、ユーゴスラビアへの軍事行動の即時停止を訴える。NATO加盟諸国に対して、対話と外交による問題解決の道を探るために国際社会に呼びかけるよう訴える。
3 これら一連の軍事行動は軍事力一辺倒の思想の産物であり、紛争の解決になんら有益な効果をもたらさない。このことは、20世紀の歴史的教訓に照らして明白である。このような軍事的対応は、場合によれば第三次世界大戦をも引き起こしかねない最悪の選択である。また、このような軍事的対応は、人類がはじめて地球的規模での国際社会を実感し得たとも言える冷戦後の時代にあって、かけがえのない地球を保全し、この上に真に幸福な人間社会を築こうとしているすべての民衆の熱意に水を掛け、希望を裏切る行動である。
4 われわれは、50余年前、諸国民の名において、今世紀2度にわたって経験した戦争の惨禍を反省して、紛争の平和的解決を第一義とすることを誓った。しかし、アメリカ合衆国およびEU諸国は、ユーゴスラビア空爆によって、軍事力と戦争というなまの暴力だけが政治の方針を決める世界を人類に再び押しつけようとしている。
5 この危機を乗り切るには、国際連合の正しいイニシャティブによる調停活動は不可欠である。今こそ、国連は、NATOの誤りを正し、ユーゴスラビア問題の解決のために必要なすべての努力を尽さねばならない。真に人間の安全が確保され、すべて人の人権が保障される21世紀を実現するためにも、国連は、今こそ、その存在理由をかけて、平和的解決に踏み切らなければならない。
6 国連がこの決断を下すために、世界第2位の分担金負担国である日本の果たすべき役割は大きい。憲法9条を国是とし、世界最初の原爆被爆国である日本こそ、今日のユーゴスラビア問題の平和的解決を積極的に提起すべき位置にいる。われわれは、軍事力によって覇権を求める思想に立つ日米新ガイドラインを支える周辺事態法案が衆議院で可決された今こそ、その非を悟り、日本の本来の役割を自覚して、ユーゴスラビアに対するNATO軍の空爆の即時停止と国連による平和的解決のために、全力を傾けるように、日本政府および国民に呼びかける。
1999年4月29日 みどりの日に
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