政治倫理条例市民モデル案について(暫定掲載)

福岡県では“政治倫理銀座”と言われるほど多くの自治体が政治倫理条例を制定しています。その動きに大きな影響を与えたのが【政治倫理・九州ネットワーク】です。ここに記載するモデル案は、その政治倫理・九州ネットワークによって作成された市民モデル政治倫理条例案に数カ所加筆したものです。
 政治倫理条例とは住民を代表する公職者がその地位による影響力を不正に行使して私利を図ることを禁じ、公職者の活動を透明化し、金にまつわる情報を公開することで、不正・腐敗の温床を取り除き、政治倫理の確立を可能とするものです。また、公職者の適格性の有無について住民の知る権利を制度化し、住民が地方政治の公正な運営について必要な情報を得るための制度でもあります。また、この制度により不正や腐敗を防止し、公職者の資質を証明、保証することも可能になります。公職者の倫理を確立し、透明な行政・議会の推進で住民の信頼を確保することができ、公職者にとっても自らを「クリーン」と言える基準であり、市民が公職者の適格性を判断できる基準なのです。
 政治倫理条例は「政治倫理基準」「資産公開制度」「問責制度」の三本柱と、これを支える「政治倫理審査会」「住民の調査請求権」の二本の梁で構成されており、情報公開制度と車の両輪であり、職員倫理条例とあわせ三位一体の運用を図ることが必要です。

ご意見募集

市民オンブズ鳥取ではなるべく早い時期に鳥取県及び鳥取県内の市町村に対し政治倫理条例制定の申し入れを行いたいと考えております。そこで市民にとって少しでも有益な条例制定を求めるために、以下の政治倫理条例(市民モデル案)に関してご意見を広く募集しますので、「お問い合わせ」フォームに記入して、ご意見をお寄せ下さい。

 以下はあくまでもモデル案ですので、○○市となっておりますが、自治体により「市」を「県」「町」「村」となる場合もあります。また、政治倫理審査会の委員数、職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会開催要求を行う場合の署名人数等は自治体の規模によって検討することが必要となります。
○○市政治倫理条例(市民モデル案)
(目的)
第一条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その受託者たる市長、助役、収入役、教育長、公営企業管理者、農業委員(以下「市長等」という。)及び市議会議員(以下「議員」という。) が、市民全体の奉仕者として人格と倫理の向上に努め、いやしくもその地位による影響力を不正に行使して自己又は特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市民が市政に対する正しい認識と自覚を持ち、公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(市長等、議員及び市民の責務)
第二条 市長等及び議員は、市民の信頼に値する倫理性を自覚し、市民に対し自らすすんでその高潔性を明らかにしなければならない。
2  市民は、主権者として自らも市政を担い、公共の利益を実現する自覚を持ち、市長等及び議員に対し、その地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
(政治倫理基準)
第三条 市長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 

市民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2)  市民全体の奉仕者として常に人格と倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。
(3)  市(市が設立した公社並びに市が資本金、基本金その他これらに準ずるものを出資し、又は拠出している公益法人、株式会社及び有限会社を含む。第十条第一項第三号、第十六条第一項において同じ。)が行う工事等の請負契約、下請工事、業務委託契約及び一般物品納入契約に関して特定業者を推薦、紹介する等有利な取計いや、公的に明らかな予算執行計画以外の資料を担当課所等に求めてはいけない。
(4)  公的任務の場合を除き、過去に市が発注した企業及び今後発注の可能性がある企業の会合に出席しないこと。
(5)  市職員(臨時職員、非常勤職員及び嘱託職員を含む。以下「市職員等」という。)の公正な職務遂行を妨げ、又はその権限若しくは地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。
(6)  市職員等の採用に関して推薦又は紹介をしないこと。
(7)  議員は、市職員等の昇格及び異動に関して推薦又は紹介をしないこと。
(8)  政治活動に関して企業、団体等から寄付等を受けないものとし、その後援団体についても政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄付等を受けないこと。
2  市長等及び議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明にあたるとともに、その責任を明らかにしなければならない。
(資産等報告書の提出義務等)
第四条 市長等及び議員は、毎年一月一日現在の資産、地位、肩書、前年一年間の収入、贈与及び税等の納付状況について毎年五月十五日から同月三十一日までに次条に定める資産等報告書を市長等にあっては市長に、議員にあっては市議会の議長(以下「議長」という。)に提出しなければならない。
2  前項の資産等報告書の提出には、提出義務者の配偶者及び扶養又は同居の親族(以下「配偶者等」という。)に係る資産等報告書も併せて提出しなければならない。
3  資産等報告書には、規則の定めるところにより、必要な証明書類を添付しなければならない。
4  議長は、第一項及び第二項の規定により提出された議員等の資産等報告書の写しを市長に送付し、市長は、市長等の資産等報告書の写しとともに、これを毎年六月十五日までに市民の閲覧に供しなければならない。ただし、前項の証明書類は、閲覧の対象としない。
(資産等報告書の記載事項)
第五条
資産等報告書には、次の各号に掲げる事項を記入しなければならない。
資産
(1)  土地 : 所在、地目、面積、取得の時期及び価格
(2)  建物 : 所在、種類、構造、床面積、取得の時期及び価格
(3)  不動産に関する権利(借地権等) : 権利の種類、契約期日及び契約価格
(4)  預貯金 : 預入れ金融機関名、預貯金の種類及び金額、定期預金の預金日及び満期日
(5)  動産 : 価格が五十万円以上の動産の種類、数量、価格及び取得の時期(ただし、生活に通常必要な家具、什器及び衣類をのぞく。)
(6)  信託 : 信託に関する権利の種類、受託者、信託財産の種類、価格及び取得の時期及び価額
(7)  有価証券 : 公債、社債、株式、出資その他の有価証券の明細、取得期日、取得価額、額面金及び時価額
(8)  ゴルフ会員権 : クラブ等の名称、口数及び時価額
(9)  貸付金及び借入金一件につき五十万円以上の貸付金並びに借入金の明細、契約期日及金額
(10)  保証債務 : 金銭保証、身元保証等の保証債務の内容及び金額(ただし、金銭保証については、同一人に対し総額五十万未満のものを除く。)
(11)  貯蓄性保険 : 貯蓄性の生命保険、損害保険等の種類、保険会社名、契約期日及び保険金額
2 
地位及び肩書
(1)  企業その他の団体における役職名並びに報酬(顧問料等その名目を問わない。)の有無及び金額(ただし、宗教的、社交的及び政治団体を除く)
(2)  公職を退いた後の雇用に関する契約その他の取り決めについての相手方及び条件
3 
収入、贈与及びもてなし
(1)  給与、報酬、事業収入、配当金、利子、賃貸料、謝礼金、年金その他これらに類する収入の出所及び金額
(2)  一出所当たり三万円以上の贈与並びにもてなし(交通、宿泊、飲食、娯楽等)の出所、内容及び金額又は価額
4 
税等の納付状況
(1)  所得税並びに事業税の前年分、市県民税、固定資産税、国民健康保険料及び軽自動車税の前年度分の納付状況
(2)  普通地方公共団体に係る使用料等の前年度分の納付状況
(政治倫理審査会の設置)
第六条
資産等報告書の審査その他の処理を行うため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百三十八条の四第三項の規定に基づき、○○市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)
2 
審査会の委員は、9人とし、資産等報告書等の審査に関して専門的知識を有する者及び地方自治法第十八条に定める選挙権を有する市民のうちから、市長が公正を期して委嘱する。
3 
審査会の委員の任期は、二年とし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、委員は、任期が満了した場合においても、後任の委員が委嘱されるまでの問その職務を行う。
4 
審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、委員定数の三分の二以上の同意を必要とする。
5 
審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(審査会の職務)
第七条
審査会は、次に掲げる職務を行う。
(1)  資産等報告書を審査し、意見書を市長に提出すること。
(2)  市民の調査請求に対し、必要な調査を行い、意見書を市長に提出すること。
(3)  説明会の開催に関し、意見書を市長に提出すること。
(4)  その他この条例による政治倫理の確立を図るため、市長の諮問を受けた事項につき調査、答申、勧告をし、又は建議をすること。
(5)  政治倫理審査会が第三条(4)の違反を認定したときは、市長等、議員には辞職勧告を行い、業者に対しては公共事業への参入資格の取消または一時停止を市長に勧告する。
2 
審査会は、前項の職務を行うため、関係人から事情を聴取し、資料の提供を求める等必要な調査を行うことができる。
(資産等報告書の審査)
第八条
市長は、第四条第四項の規定により送付された議員等の資産等報告書の写しとともに、市長等の資産等報告書の写しを毎年六月十五日までに審査会に提出し、審査を求めなければならない。
2 
審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、審査を求められた日から九十日以内に、審査結果につき意見書を作成し、市長に提出しなければならない。
(資産等報告書及び意見書の閲覧)
第九条
市長は、前条第二項の規定による意見書が提出された日から十五日以内に、これを市民の閲覧に供するとともに、その要旨を広報紙等に速やかに掲載しなければならない。
2 
議員に係る意見書については、市長は、その写しを議長に送付しなければならない。
3 
資産等報告書及び意見書の閲覧期間は、閲覧開始の日から五年間とする。
4 
市民は、閲覧により知り得たことをこの条例の目的に沿うよう適正に活用しなければならない。
(市民の調査請求権)
第十条
市民は、次の各号に掲げる事由があるときは、これを証する資料を添えて、市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長に調査を請求することができる。
(1) 
資産等報告書に疑義があるとき。
(2)  政治倫理基準に反する疑いがあるとき。
(3)  市工事等に関する遵守事項に違背する疑いがあるとき。
2 
前項の規定により調査の請求がなされたときは、議長は、議員に係る調査請求書及び添付資料の写しを市長に送付し、市長は、市長等又は議員に係る調査請求書及び添付資料の写しを審査会に直ちに提出し、調査を求めなければならない。
3 
審査会は、前項の規定により調査を求められたときは、請求を受けた日から九十日以内に、調査結果につき意見書を作成し、市長に提出しなければならない。
4 
市長は、前項の規定による意見書が提出されたときは、遅滞なく、その写しを請求者に送付しなけれぱならない。
5 
前項に定めるもののほか、意見書の取扱いについては、第九条の規定を準用する。
(虚偽報告等の広報)
第十一条
市長は、審査会の意見書に資産等報告書の提出の遅滞、虚偽の報告又は調査に協力しなかった等の指摘があったときは、その旨を広報紙等で速やかに公表しなければならない。
(職務関連犯罪容疑による逮捕後の説明会)
第十二条
市長等又は議員が、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十七条から第百九十七条の四までの各条及び第百九十八条に定める贈収賄罪、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成十二年法律第百三十号)に定める罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑による逮捕後、引続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に、市民に対する説明会の開催を求めることができる。この場合、当該市長等又は議員は、説明会に出席し釈明するものとする。
(職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会)
第十三条
市長等又は議員が職務関連犯罪による起訴後、引続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に、市民に対する説明会の開催を求めなければならない。この場合、当該市長等又は議員は、説明会に出席し釈明しなければならない。
2 
市民は、前条又は前項の規定による説明会が開催されないときは、地方自治法第十八条に定める選挙権を有する者二十人以上の連署をもって、説明会の開催を請求することができる。
3 
前項の開催請求は、逮捕後の説明会にあっては起訴又は不起訴の処分がなされるまでの間に、起訴後の説明会にあっては起訴された日から五十日以内に、市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長を通じて行うものとする。
4 
市民は、説明会において当該市長等又は議員に質問をすることができる。
5 
市長は、説明会の開催に関して審査会にあらかじめ諮問し、開催の是非につき意見書の提出を求めなければならない。
6 
意見書の取扱いについては、第九条の規定を準用する。
(職務関連犯罪による第一審有罪判決後の説明会)
第十四条
前条の規定は、市長等又は議員が前条の罪による第一審有罪判決の宣告を受け、なお引続きその職にとどまろうとする場合に準用する。ただし、開催請求の期間は、判決の日から三十日を経過した日以後二十日以内とする。
(職務関連犯罪による有罪判決確定後の措置)
第十五条
市長等又は議員が前条の有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第十一条第一項の規定により失職する場合を除き、市長等又は議員は、市民全体の代表者としての品位と名誉を守り、市政に対する市民の信頼を回復するため、辞職手続を取るものとする。
(市工事等に関する遵守事項)
第十六条
市長等及び議員の配偶者、二親等以内又は同居の親族、市長等及び議員が役員をしている企業並びに市町等及び議員が実質的に携わる企業は、地方自治法九十二条の二、第百四十二条、第百六十六条、第百六十八条及び第百八十条の五の規定の趣旨を尊重し、市が行う工事等の請負契約、下請工事、業務委託契約及び一般物品納入契約を辞退し、市民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない。
 2 
前項に規定する「実質的に経営に携わる企業」とは、次に掲げるものをいう
(1) 
市長等及び議員が資本金その他これに準ずるものの三分の一以上を出資している企業。
(2) 
市長等及び議員が年額百万円以上の報酬(顧問料等その名目を問わない)を受領している企業。
(3) 
市長等及び議員がその経営方針又は主要な取引に関与している企業及び実質的に経営に携わっていると見なされる企業。
3 
前二項に該当する市長等及び議員は、市民に疑惑の念を生じさせないため、責任をもって関係者又は関係企業の請負等辞退届を提出しなければならない。
4 
前項の辞退届は、市長等及び議員の任期開始の日から三十日以内に、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出するものとする。
5 
議員に係る辞退届については、議長は、その写しを市長に送付しなければならない。
6 
市長は、前二項の規定による辞退届の提出状況を広報紙等で速やかに公表しなければならない。
(委任)
第十七条この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
  附則
この条例は平成○年○月○日から施行する。